蓮杖探偵事務所の飄々事件簿
「し、信じて下さいよ南部さん!」

縋るように、俊平は夏彦に歩み寄る。

「僕ら本当に見たんです!バスタブからいっぱい腕が出てきて…僕はそいつらと雛罌粟さんの引っ張り合いもしたんです!だけど数が多くて、とても力じゃ勝てなくて…だから…雛罌粟さんの事助けられなくて…」

「私が悪いの!」

冴子も叫ぶ。

「もしかしたら私も腕に摑まれて引き摺り込まれるんじゃないかって怖くて…だから雛罌粟さんの事助けられなくて…もし私と石動君の二人で雛罌粟さんを引っ張れば、助ける事が出来たかもしれないのにっ!」

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