株式会社「C8」







視線を感じたのか、男は本を閉じてニコリと微笑みながら浩子の方を向いた。



彼の名は神城尊(カミシロミコト)、28歳。
身長180cm、体重60kg
1985年01月04日生まれ、A型
濃い青をした長髪、端正な顔立ち。
主に担当する依頼は心霊現象、学業系、恋愛沙汰。
組織での役割は、副社長として社長補佐。
特技はお祓い、呪術、縁結び等。
頭脳明晰、陰陽師家神城の跡継ぎ。



「社長、エアコンの設置ありがとうございました。」


「尊テメーコラ!どういう事か説明しやがれっ!」


「…いえ、ただエアコンの設置を頼んだだけなのですが。」


「煩い八代。二階のエアコンは二階の奴等でどうにかして。」



怒鳴り散らす八代を尊がなだめようとするが、怒り出すと止まらないのが八代。これは、放置に限る。


二階と三階とで勤務する人間が別れており二階は五人、三階は三人ずつになっている。浩子と尊は三階。八代は二階だ。

一階にもエアコンはあるが、応接室になっているので依頼主が訪ねて来た時にしか動かさないという決まりなのだ。


煩い八代に構わず、浩子は尊に一枚の紙を手渡す。



「尊、依頼よ。今回は単独で。六時にクライアントと待ち合わせだから遅れないで。」


「!、はい……。」



手渡された依頼書を見ると、どうやら心霊現象らしい。報酬は二億。また浩子が無理な取引をしたようだ。

苦笑いを浮かべつつも久しぶりの依頼に気を引き締める。待ち合わせ場所を確認し、支度をする為に一度自宅へ戻る事を浩子に伝えて廃ビルを出た。



「なァ、アレ俺も着いてって良い?」


「却下。」



先程の憤怒はどこへやら。八代は退屈そうにあくびを漏らした。ソファーへダイブする彼を見た浩子は不機嫌そうに溜め息をこぼす。

チラリと時計を確認すると三時前。

そろそろか、とデスクの引き出しから手帳を取り出して席を立つと八代に一緒に一階へ降りるように指示を出す。

「クライアントが来る」そう聞いた八代は上機嫌でそれに従った。



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