ダーリンは12歳年下✦遠恋の果てに
今までは家での辛さを仕事に行き社会に出ることで、積み重なるストレスを外に放っていた。

でもリストラにより絶望感を感じてしまっていた為、そのストレスのはけ口は瞬く間にネットでのチャットへと移行していったのだった。

ちょうど当時の夫は夜から出勤する仕事だったから、その後は心置きなくチャットを楽しむ事ができた。

夫もゲーム機を渡しておけば、とりあえずはハサミを持った頭のおかしくなった妻を見なくて済むと思ったのか、当初はチャットに関してさほど干渉することはなかったのだけど……

そんなわけで私は初めは主婦ばかり集まるチャット部屋に入ってた。
みんなでワイワイと旦那の愚痴などこぼして。

「うちの旦那はほとんど名詞でしか話しないよ。」

「それ、どういうこと?」

「お茶。つまようじ。飯。靴下。」

「あぁ、なるほどね。」

「お茶持ってきて。とか、つまようじ取ってくれる?って言葉がなんで言えないんだろ?」

「確かに…」

「年々会話が無くなってくよね…」

こんな感じだった。

それでも抱える問題は解決しなくても、ただ話を聞いてもらえるだけで気持ちが晴れていくような気がした。

そしていつしか『動物大好き』という部屋に訪れ常連になっていた。

猫を飼っていた私は初めてその部屋に入っても、動物という共通の話題があったからすぐに馴染め、気が付けば毎日『動物大好き』に行っていた。

普通に生活してると出会えない遠くの人達とも年齢も感じず、たわいの無い会話が出来る。
とても新鮮な気分。

もう、チャット無しの生活なんて考えられないくらいになっていたのだと思う。

だんだんとキーボードにも慣れ、あたかもそこに実際にいるような感じで会話するようになっていたので、毎日顔を合わせる仲間とよくふざけあっていたものだ。
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