[完]俺様くんがスキなんです!!
ードンドンドンドン!!

焦りでドアを叩く音が大きくなってしまう。

ーガチャ

ドアが開いて話し掛けようとした時……

「ふざけないでよ!!」

……は?

俺はその言葉に苛立ちを感じた。

俺が探してんのになんだよふざけんなって……

俺にここまで来て欲しくなかったっていいたかったのか?

そんなの……俺だって来たくなかったにきまってんだろ!?

「それはこっちのセリフだ!!」

そういった瞬間俺は我に返る。

怒鳴った瞬間ビクッとなる美紅。

いままで見たことのないような服を来て濡れている長い髪から滴り落ちる雫に俺は不覚にもドキッとした。

でも……この光景を目の前にしているということは……つらい現実があったということを物語っている。

そして……初めて美紅の目を見た時美紅の目にはたくさんの涙の跡があった。

美紅はこんなことしない……

そう思っているうちに俺は今以上に美紅を傷つけてしまった。

何回も泣きながら俺に弁解しようとしている美紅に俺は最低な言葉を贈った。

「もう美紅を信じられない」

そういって俺はドアを乱暴に閉める。

それは……もうそれ以上俺の知らない美紅の姿を見たくなかったのかもしれない……

でもドアを閉めた瞬間俺は再び後悔する。

だってドアの向こうから……

「う″……っ……」

美紅の泣き声が聞こえるんだから……

いつもならここで美紅を抱きしめる。

いや、今もそうしたいと思っている。

けど……この涙は俺が流させたんだから……

俺は何も出来ない。

「クソッ!!」

俺はそう吐き出して来た道を帰っていく。

その時思い出すのは美紅の笑った顔。

「風磨ー!!」
「んふふー♪」
「ありがと!!」

ほんと俺何してんだよ……

自分に凄いムカつく。

「ねぇ、信じてよ!?」

何で俺はあの時美紅の話も聞かずに信じなかった?

ーガンッ!!

俺はコンクリートの壁を思いっきり叩く。

その瞬間とめどなく溢れてくる赤い血。

それとどんどん痛みだす俺の拳……

どうせだったらこの血と一緒に俺のやったことを流し去ってくれたらいいのにな……

俺はその場に悔しくて崩れ落ちた。

「美紅……」

俺の頭ん中は美紅で一杯だ。

頼むから……美紅色に染まっている頭ん中を変えないでくれ……

< 188 / 232 >

この作品をシェア

pagetop