いつも同じ空の下で


まるで風の様に去って行った2人の背中を見て、私とアヤカは茫然とその場に立ち尽くした



「な・・・なんか大人の男の人って感じだったね・・」



沈黙を破ったのは、小さなアヤカの声



「・・・うん。なんか超スマートな感じ・・・ユウキも放心状態だったね・・・」

「あんなの…誰でも放心状態になるよね」

「――確かに」



茫然と前を向いたまま話す私達のもとに、さっきのウエイターがやってきて我に返る



「すいません。お騒がせしました。お会計お願いします」

「お金なんて頂けません!! 本当に申し訳ありませんでした」



財布をカバンから出して、そう言った私に目を見開き、壊れた玩具みたいに何回もペコペコと頭を下げたウエイター

何度か押し問答をしたけど、結局お言葉に甘える事にした




結局、お店を出たのは5時過ぎで、トボトボとお店から駅までの道のりをアヤカと2人で歩いた




「ユウキ・・・火傷大丈夫かな? 痕残ったりしないよね?」

「きっと大丈夫だよ。さっきの店員もついてるし。帰ったら連絡してみる」



心配そうに呟いたアヤカに、微笑みかける



さっきユウキを病院に連れて行った店員はなんでも、あの店の店長代理だとか

どうりで、しっかりしているはずだ




「そうだよね・・・うん。大丈夫だよね」

「うん。なんてたって、あのユウキだよ?」

「ふふっ、そうだね。ちょっとの事じゃ、へこたれないよね!!」



不安を消す様に、私達は笑いながら駅までの道を歩いた





―――でもその夜

何度かけても、ユウキは電話にはでなかった

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