不滅の妖怪を御存じ?



「母さんは他の奴らと一緒で乙姫だぞ。」

「ち、父親は誰なの?」

「んー、エルフっつったっけかな。」

「……え。」


エルフ。
エルフってあれ、西洋のファンタジーに出てくる妖精か。

藍は有明の背中を見ながらめまぐるしく頭をうごかす。
つまり、有明は乙姫様とエルフの子。
妖怪と、妖精の子。
なんじゃそりゃ。


「……お、乙姫様とそのエルフさんの馴れ初めは?」


一体何がどうなって有明が生まれたのか。
聞くのが恐ろしい気もするが藍は一応聞いておく。


「あー、竜神と乙姫がケンカして、乙姫が腹いせに浮気したんだよ。で、その相手がちょうどペリーの船に乗って日本に来てたエルフだったらしい。」

「ペリーって黒船の?」

「そうだけど。」


ペリー。
黒船。
黒船来航。
日本の鎖国が終わる。

藍は小学生の時に教科書のペリーの絵に鼻毛を描いてたな、とどうでもいいことを思い出した。

そして、あれ?と思う。

ペリーが来航したのって、1853年だったような。
いやー降参ペリーさん。


「有明って今何歳?」

「詳しい年は覚えてねーけど、もうすぐ200歳じゃねーかな。」


なんてこった。

絶対年下だと思っていた有明がまさかのおじいちゃんだった。



藍はただ目を見開いて小さな有明の背中を見つめることしかできなかった。



< 264 / 491 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop