不滅の妖怪を御存じ?



「それでな、これまた面白いことに、寺山修司という人は詩の中でこんな一節をうたったそうじゃ。」


さよならだけが、人生だ。
乙姫は心の中で言ってみる。

寂しい。
人間は儚いものだと思った。



「さよならだけが人生ならば、また来る春は何だろう。」


また来る春。
あぁ、そうか、弓月はまた、次の子を育てるのか。

乙姫は目を伏せる。

また、九木に殺されるのに。
それでも、育てなければいけないのだろう。

また来る春。


「本当に、何なのだろうな。」


眉を下げて、笑いながら弓月はそう言った。

乙姫は何も言わずその顔を見つめた。

パカン、と箱が閉じられる。

言いたいことだけ言って弓月は帰って行った。





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