不滅の妖怪を御存じ?







九木の妖力の爆発から一夜が明けた。

日付が変わる頃には町を襲った木々の成長は止まっており、人々は外に出て撤去作業に取りかかった。

道も家も橋も全てが木々に覆われ、さながら町はジャングルのようだった。
移動するのも一苦労で、木々につかまってよじ登る必要がある。
サバイバル体験をしているような気になる。

先ほどからヘリがバラバラと音をたてて上空を飛んでいるらしい。


『昨晩、関西、関東地方を襲った植物の異常成長は、午前零時を回った頃には収まりました。そして一晩明けた今日、人々は町に出て木々の撤去作業をしています』


テレビから流れる情報を桜はぼんやりと聞いていた。

けが人は出たが一般人の死亡者は未だ発見されていないということだ。
九木が妖力を爆発させた時、近くに一般人がいなかったのは幸いだったな、と桜は思う。

いたら吹き飛ばされて何人かは死んでいただろう。


『九州、四国、東北地方でも街中で植物の異常成長は目撃されました。しかし、植物の量は少なく、関西関東地方と比べると被害は小さかった模様です』


そうして映像が切り替わり、街中で木々がぐんぐん育ちあらゆるものを覆っていく映像が流される。





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