不滅の妖怪を御存じ?






分かることは、人が神に何かをして、神によって何かが起こったということだけだ。

何かが消えて何かがやってきた。
はたまた土地の何かが変わったか。
神に関わるとは、そういうことだ。

ひどい時には、村一つの存在が消えたかもしれないという例もある。

鬼道学園が神仏に頼るという切り札を使いたくないのもそのせいだ。
村単位だったらまだいいが、人間と妖怪とが二極化したこの状況で九木の消滅を願えばどうなるか。

日本という国自体無かったことにされるか。
はたまた人間という種族が存在しなかったことにされるか。
九木以上の敵の存在が現れるか。


「良い未来が全然浮かばないな」


桜が虚ろな気持ちで呟いた言葉。

数秒の間の後、紫月が口を開く。


「前向きに行きましょう、です」

なるようになります、と新しいよもぎ団子のパッケージを開け始める。
パキパキッとプラスチックが外れる音。

その団子は佳那子の分だ、とは言わないでおいた。






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