不滅の妖怪を御存じ?









気になることを言い出した本人のくせに、伊勢千秋はケロリと話題をぶった切った。


「まぁ、どうでもいいか」

「はぁ?」

「あの妖怪が何であれ、壱与の封印を解くことに変わりはないんだから」


だから、ダンがどんな妖怪であっても構わないというのか。
言いたいことを言うだけ言いやがって。

藍は文句を言おうとして、やめた。
ここで言い合っても時間の無駄だ。
竹内天音が藍と千秋を無表情で見つめている。


「もしかしたら、東北の妖怪は牛木と似た種の妖怪なのかもね」


再び歩き出したら、千秋がぽつりとそう言った。

竹内家の屋敷は進めば進むほど暗くジメジメしている。


「最近生まれたばかりの妖怪だから、あり得ないことじゃないし」


牛木は、大まかに見れば海の怪だったはずだ。
ダンは海で生まれたのか。

だが、ダンは妖怪にしては人間への敵意があまり無さそうだが。
藍がいまいち納得しきれないでいると、不意に千秋が足を止めた。

空気が冷たい。
なんとなく、着いたのだなと分かった。
直感でしかないけれど。





< 398 / 491 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop