あくまでも骨董屋です。

もし素面だったら、無視していたかもしれない。

でも、この時の私は、好奇心の惹かれるまま、店のドアに手を掛けていた。

カラン…

耳触りの良い音を立てて、ベルが鳴るけども、しかし店内に人の気配はない。

「うわー……すごっ…」

店内に展示されたアンティークは、家具や人形、アクセサリーと様々で、素人の私が見ても、心奪われるような美しさだった。

その場に立ち尽くすように店内を見回していると。

「いらっしゃいませ」

いつの間に現れたのか、背後に男が立っていた。

「あ……」


好奇心で覗いただけ、なんて言えない雰囲気だった。

どうしようかと迷っていると、男がくすりと笑った。



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