産後1ヶ月
かれこれ2時間程経ってしまった。



さすがに寝た方がいいなと思い始めた私は、今度は下半身に嫌な感覚を覚え始めた。



お股が痛い。



ちょっと前からじんわりと痛いような感じはしていたのだが、時間が経つに連れて痛みは本格化し、とにかくジンジン痛くて眠るどころでは無くなった。



会陰切開の傷が痛むのか、そこを縫った痛みなのか何なのかわからないが、とにかくお股の辺り全体が痛い。



眠ってしまえば、痛みも感じなくなるかも。



そう思い目を瞑ってみるが、やはり痛くてたまらない。



時刻は12時を過ぎ、当直の看護師さんが見回りにやって来た。



病室のドアをそっと開ける看護師さん。



私はとっさに目を閉じて寝たふりをした。



眠れないなら眠れないと、痛いなら痛いと言えばいいものを、何だかまるで修学旅行生が見回りに来た先生に見つからないように寝たふりをしているみたいだ。



看護師さんが去った後、そのバカバカしさに気が付いた私はゆっくりとベッドから起き上がり、ドアを開けて看護師さんを呼び止めた。



「すみません、ちょっと痛くて・・」



申し訳なさそうに口を開いた私に看護師さんはニコッと微笑んだ。



「そっかそっか、じゃぁお薬飲もうか。持ってくるね」



何と。



こんなすんなりとお薬もらえるとは。



我慢していないでもっと早く言えばよかった。



看護師さんが用意してくれた鎮痛剤を飲み、時計に目をやると夜中の2時を回っていた。



全くくだらないことで4時間も睡眠時間を無駄にしてしまった。
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