anjel







そうして私は、両親にむけて以外、


歌わないと誓ったんだ。


「………これが、理由です。」


話し終えて先輩の方をみると、先輩は優しい顔をしていた。


「長くて、すみません。

 つまらなかったですよね」


「そんなことない。

 ……辛いこと、話させてごめん」


私の頭をゆっくりなでる先輩。


突然私の隣に来て、私をぎゅっと抱きしめた。


「せ、先輩…!?」


呼んでも、胸を押しても、応答はない。


どうしたの、先輩………


「…ごめん、何も言う言葉が見つからない」


そう一言呟いた、みっくん先輩は


さらに腕に力を入れる。


「……謝らないでください。」


いきなりこんな話されて、何もいう言葉がないのは当たり前。


なのに、どうして謝るんですか…?







 
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