anjel








「やっと笑ったね」


私の一番近くにいるみっくん先輩が笑う。


「はい」


私がそう言うと。


「…!」


先輩は、右手を私の頭にのせた。


「大丈夫。」


「…?」


「幸望ならできる」


だから心配するな、というように微笑むみっくん先輩。


ゆっくりと頭をなでる手が、とてもあたたかい。


また泣きそうになるのを必死で堪えながら、


「ありがとうございます」


と言って、笑顔を見せた。


「じゃ、学祭の準備頑張ってね!」


「幸望りんファイト~!!」


「また来るからね」


「…泣くなよ」


先輩たちは口々にそう言うと、私に背を向けて、階段を下りていった。


「……ありがとうございます」


私はもう一度呟き、深々と頭を下げた。








 
< 435 / 600 >

この作品をシェア

pagetop