その奴隷は愛に飢えて

季節は巡り、あれから一年少し。冬となり枯れ木となった大木に、彼の奴隷少年『6番目の【嫉妬】』は背を預けていた。


雪が積もり、ボロボロの衣服しか身につけていない6番目の手足はかじかんでいる。


顔は青白く、生気が感じられない。



「はあ…、みんなに会いたいよう。ボクも、ボクも『9番目の【慈愛】』と一緒にいたいもん」



息を吐き、白くなる目の前の世界をボーっと見つめる6番目。


周りの者は誰一人と近づかない。こんなに小さな子供を見捨てようとは、嗚呼なんと無情な世のことだ。


ぐす、鼻水をすすり、体を丸めて膝で顔を隠す6番目。



「ボクが死んだら、みんなも死ぬのに。どうしてボクを死なせてくれないの、神さま」

< 16 / 32 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop