君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
嘘…。


何をしているんだろう、私は。

やるだけやった気になって、肝心のことを言ってなかったなんて。


私も、大概あいまいだったんだ。


なのに、新庄さんは、ずっと、私のそばにいて。

たぶん、いろいろと、悩んでくれた。


本当に。

この人は、私を甘やかしすぎる。


好きです、と。

言いたくて、言いたくて。

言葉はすぐそこまで出かかるけれど。


さあどうぞと言わんばかりの態度の新庄さんを見て、唇を噛む。

そんなふうに待ちかまえられて、言えるものじゃない。


悔しくて、顔が熱くなる。

新庄さんが、小さく吹き出して、持っていたチョコの箱を、コンとルーフに置いた。



「けっこう、言えないもんだろ」



小馬鹿にするように笑って、両手で私を引き寄せる。



「思ってても」



そう言って今度は、ゆっくりと楽しむような、キスをくれた。


新庄さんの冷たい指が、髪に絡まる。

誰か来たらどうしよう、という考えが頭をかすめて、周囲に視線を走らせると、集中していないのがバレたのか、叱るように髪をつかんで上向かせられ。

没頭せざるを得ないようなキスをされた。



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