君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
私を見ると、新庄さんは驚いたように目を見開いて、耳から携帯を離した。

私は愚かにも、一瞬、秀二の様子を確認してしまって。

その視線を追って、新庄さんも秀二を見たのがわかった。


手の中の震えが、とまった。



「恵利?」



秀二が不思議そうに、私と新庄さんを見比べる。


それを聞いた新庄さんが、ゆっくりと私を見た。

問いかけているようでもない、気分を害しているようでもない、感情の読めない目。



「…新庄さん」

「様子を見に、寄ったんだが」



言いながら、運転席のドアを開ける。



「出直したほうが、いいみたいだな?」



返事をする間もなく、バンと鈍い音を立ててドアは閉まり。

太く響く音が、遠ざかっていった。

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