君しかいらない~クールな上司の独占欲(下)
「変わんないでしょ」
同期の石本彩(いしもとあや)が、スパッと言った。
「てか、まだそのへんはっきりさせてないわけ、あの男? 最低」
フォローする言葉が見つからず、私はくるくるとランチプレートのパスタを絡めとる作業に集中する。
彩がそう言いたくなるのも、わかる。
彩の目には、新庄さんが私の気持ちを知っていながら、いいように遊んでいると映るのだろう。
確かにそうともとれるけど、私は当事者の勘で、新庄さんが今、何かを「測っている」のを感じていた。
元上司と部下、という関係と、時折キスを交わしたりする関係を行ったり来たりしながら、彼はたぶん、考えている。
自分にとって、私がなんであるかを。
私が投げた問いの答えを、見つけようとしてくれている。
彩の考えとは逆に、私は新庄さんに触れるたび、彼のとても生真面目な一面を見ている気がしていた。
とはいえ、お互い忙しい身で、なかなか思うようには会えない。
来月の休暇で、もっと何か、判断材料を与えられるといいのだけれど。