【短】君から伝わる体温





大声を出した明美に、しーっと人差し指
を突き立てる。



それから、ちょっと笑って見せた。



「大丈夫だから。こんなのすぐ治るし。
リレー、いってくる」



そう言って、足早にスタート位置につい
た。



第一走者に抜擢された私。



アンカーじゃなくて良かった。アンカー
だったらヤバかったな、流石に。



ふう、と息を整えて。



──パァン!



そんなピストルの音が聞こえた瞬間に、
走り出す。



もう声援も聞こえなかった。



走るのすら苦痛で……。



次の人にバトンを渡した瞬間、ぐらり、
と視界が眩んで。






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