【短】君から伝わる体温
後ろから迫ってくる敵の第一走者の邪魔
にならないように動くのが限界だった。
あ、だめ……。
倒れる───と思った瞬間。
「この、バカ!」
そんな怒声が飛んできたかと思えば、ふ
わ、と身体が宙に浮いて。
「き、北見くん……!?」
そこには、いつもの無表情さはどこへい
ったのやら、すごく必死そうな北見くん
が居た。
「俺にしがみついてろ!」
なにこれ……。
北見くんにお姫様抱っこされちゃってる
よ……。
夢、かなぁ?
夢……なら。
夢だっていうなら……。