Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
 圭斗の耳に入った噂を纏めれば、そんなものだ。
 この中にどれほど真実が含まれているというのか。
 自分のことまで含まれていることを考えれば、既に生徒の敵と見なされていると考えてもいいだろうと圭斗は判断する。
 紗綾に聞こえるようにわざと大きな声で陰口を叩いたいかにも口が軽そうな女子集団にも見られている。

 だが、いくつか大嘘があるのは圭斗にもわかる。
 嵐が十夜に脅されていることなどありえない。
 そういった様子は一切ないどころか紗綾は嵐を策士などと表現する。
 実際、その通りなのだろう。
 紗綾が十夜の愛玩であるというのも大きな間違いだ。
 そんなことができるような男ではない。嵐が言うようにヘタレなのだから。
 また部室で怪しい儀式が行われている形跡はない。オカルト関係の書籍はあるが、オカルトグッズよりも嵐の私物であるらしいヘヴィメタグッズの方が多いくらいだ。
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