Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「いいんスよ、わかってるんス。困らせてるってことは、ずっと、わかってたんス」

 何も言わなくてもいいとばかりに圭斗は制する。
 それでも、紗綾は何かを言わなければと思うのに言葉が出てこない。
 困っていないとは言えないのだ。
 圭斗のことも含めて、困惑しているからこそ、将也と話をしたのだ。
 そして、何も答えが出ないまま圭斗が現れた。

「だから、せめて今ちゃんと話をしようと思って」

 どうして、彼はこんなにも辛そうな顔で言うのか紗綾にはわからない。
 彼もまた答えを出すのに、苦しんでいるかのような。

「でも、もう時間……」

 時計を見る。丁度、予鈴が鳴り、紗綾は一瞬でも助かったと思ってしまった。
 そう思わずにはいられないほど、今の空気は少しばかり重たくて、息がし辛いような気さえするのだ。
 すると、圭斗ニッコリと笑う。
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