Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「サボっちゃいません? どーせ、次、九鬼センセーの授業らしいじゃないッスか」

 圭斗は軽く言うが、紗綾はサボるなどと考えたこともなかった。
 それが嵐の授業となると、どうなのだろうかと思ってしまう。
 担任であり、部の顧問である彼は怒るだろうか、悲しむだろうか。
 そもそも、なぜ、圭斗が紗綾のクラスの時間割を知っているのか。

「あの人なら、先輩に甘いから、きっと、なかったことにしてくれるっスよ」

 さすがにそれはない、と紗綾は思う。
 嵐が言っていることは、冗談だと思わなければならないと思うのだ。
 それは、きっと、彼なりに気遣ってくれた結果なのだと思うのだ。
 たとえ、本気であったとしてもなかったことになどできるはずもない。してほしくもない。
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