Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「あー、何部なんスか?」

 面倒臭そうに圭斗が問う。聞かなければならないような気がしたのだろうか。

「陸上部だけど、何か?」

 圭斗はニヤリと挑発的な笑みを浮かべる。

「あー、自分の限界を超えることに喜び感じちゃう、ドMの人ね」
「せめて、逆にドSだって言いなさいよ」

 どっちも他の陸上部員に失礼だと思う。
 紗綾はそう言いたくもなったが、口にできるはずもなかった。

 そうして、紗綾はそのまま圭斗と香澄が事あるごとに睨み合うという生きた心地のしない昼休みを過ごす羽目になってしまったのだった。
 いつもと違って楽しいが、一度で十分だと言いたいほどだった。
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