Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「榊にはきっつい状況になるかもよ? あちらさんは俺みたいに気遣ってくれないと思うし」
「ああ、センセー気遣ってくれてたんスか」
「だって、俺先生だし?」
「まあ、考えなしに突っ込んだ状況なんで、その辺はスリルを楽しんでおこうかと」

 スリルねぇ、と嵐は呟き、溜息を吐いた。

「だから、君は何をしたいのさ」
「とりあえず、逃げないって感じで」

 圭斗の姿勢を、逃げているのか、立ち向かおうとしてるのかわからないと嵐は言った。立ち向かっているようで、ポジティヴではない。けれど、ネガティヴでもない。

「それなら、俺、月舘に全部話しちゃうけど」
「時が来たらわかるっスよ。今、話して理解できるようなまともな奴じゃないし――あいつは」

 どこか忌々しげに圭斗の声が低くなる。
 俯くその表情は紗綾にはよく見えず、彼の心に何があるのかはわからない。
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