Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「じゃあ、私たち時間が惜しいから」
「待ってくれ、取ってくれよ! 月舘!」

 半ば引きずられるような紗綾に野島は縋るような声をかけてくる。周りがクスクスと笑うが、本人は気付いていないようだ。

「えっと、香澄の嘘だよ」

 何だか可愛そうになって紗綾は教えてしまった。野島も一度やられてから警戒していたのだろう。そんなものはないのだ。
 昨日追加した『浴衣美人います』の文字が主張するだけだ。

「ちくしょー!」
「放っておけば、楽しかったのに」

 先ほどの仕返しのつもりだったのだろうか。
 本人以外は楽しそうであって、彼はそういうポジションの人間だと言ってしまえばそれまでなのかもしれない。
< 564 / 712 >

この作品をシェア

pagetop