Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
「陸上部の部長って本当にイケメンなんスか?」

 グラウンドに向かう途中で圭斗は問いかけてくる。
 イケメンなどと言ったのは香澄だった。

「凄くモテるって聞いたよ。優しい人だし」
「へぇ……優しい人、ね」

 紗綾が答えれば、圭斗の表情は陰る。
 考え込むように黙り込んで、紗綾はどうしたのかとじっと彼を見る。

「圭斗君?」
「好きなんスか?」
「え?」
「その人のこと、好きなんスか?」

 なぜ、そんなことを聞かれるのか。
 紗綾にはわからなかった。
 どうしたら、陸上部のイケメン部長が好きなどということになるのか。

「ふ、普通だよ!」
「本当に?」
「だって、そんなによく知ってるわけじゃないし、たまにちょっと何て言っていいかわからないけど、えっと……」

 紗綾は動揺していた。
 それをどう解釈したのか、圭斗は溜め息を吐く。
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