Catch-22 ~悪魔は生贄がお好き~
 家に帰って、紗綾は携帯電話を開く。だが、迷ってから結局閉じた。
 メールではいけない。電話でもいけない。直接会って話さなければならないのだと思ったのだ。
 本当は今すぐ、決心が揺らぐ前に、会いたかった。
 明日になったら迷うかもしれない。それが怖いのに、今、電話をして会って話がしたいと言って拒絶されるのも怖かった。

 香澄や将也にも話すべきだろう。先がいいのか、後がいいのか。
 それも迷ってどうしたらいいかわからなくなる。
 彼らには今回随分と迷惑をかけてしまった。きちんと話さなければならない。それから、圭斗のこともそうだ。
 明日、全ての決着を付けよう。そう決意して紗綾は眠ることにした。眠ればきっと混乱した頭がすっきりするはずだった。
< 609 / 712 >

この作品をシェア

pagetop