透明な君


「…何か…言ってみろよ…」


被せていた左手を
離して口を解放した。


ヒトミは深く一呼吸して哀れむような目をしていた。



やめろ…。
なんだよ、その目は…。


俺はお前に同情なんかしない。
ハルキを好きだという思いなんかに哀れみなんて抱かない。



お前のその感情は
おかしいんだ。



好きになるなとは言わない。正確には
好きになった過程だっておかしくはない。


ただ…
優越感からくる愛しみなんて
悲しいだろう?


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