やっぱり愛おしい

「田村さんこの原案はここの箇所がちょっとおかしいから、これでは全体の配色がぼやけてしまう。
ここだけやり直してから提出しろよ。
志田課長は笑って許してくれても、藤堂にこれが渡ったら、確実に怒鳴られるぞ。」
提出しようとして、偶然通りかかってチェックしてくれた川田さんから私は原案を返却された。

あっ、たしかにこれでは……。
私ったら何でこんな初歩的ミスを。
川田さんが気づいてくれたから良かったけど、何してるの私ったら……。
「田村さんどうした?顔色悪いぞ。最近疲れてそうだけど大丈夫か?
田村さんの原案もぼやけて、何だか調子悪そうだぞ。」
川田さんからの心配に
「……あっ、いえ何でも……すいません。大丈夫です。今後気をつけます。」
と答えるのに精いっぱいだった。

あの日曜日以来、頭の中が混乱している。
仕事をしていても原案が不調。
今日も川田さんに迷惑かけた。

なぜ貴晶さんがあの場所にいたのか、あの女性は誰なのか、勿論貴晶さんには聞いていないし、確認できるはずがない。
でも私はあの場所で、女性が貴晶さんらしき男性に言ってた言葉が耳に残っている。

『タカ、あなたが私と結婚してくれるなんて、私今でも夢みたい……。』と。
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