やっぱり愛おしい
このお店の店長らしき、貫禄のありそうな女性と談笑している一組のカップル。
彼女らしき女性は、男性の腕に自分の腕を絡めて幸せそうに笑ってる。
だけど、そんな女性の隣にいる彼氏である男性の顔は、どう見ても貴晶さんだった。
「….…た……か。」
声を出そうにも喉に引っ掛かってしまって出てこない。
貴晶さんらしき男性は私に気づいてはいなかった。

やがてそのカップルは、店長らしき女性の丁寧な挨拶に笑顔を浮かべて、ここのブライダルサロンの紙袋を手にして、出口専用の自動ドアに進むと、お店を後にした。

「ちょ……お姉ちゃん!!どうかしたの!?」
私が固まったままボーッとしているのを
不審に感じた妹が心配そうに私の肩を揺すられ、ハッと私は我に返った。
「……あっ、あの。」
動揺が全身に走るけど、妹に心配をかけるわけにいかないから
「……ごめん、何でもないよ。友人によく似た人がいて、少し驚いただけよ。」
と愛想笑いを浮かべて、私はその場をごまかして私たちもこのお店を出た。

今日私は見たくないものをこのお店で、この目で見てしまった。
それは大好きで愛おしい、貴晶さんの浮気現場だった。
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