やっぱり愛おしい
私の瞳から涙がこぼれ落ちた。
やっぱりあの時の女性は貴晶さんの恋人で、ここに来ていた。
貴晶さんと一緒にこのパンフレットを見ていた。
恋人ならきっと寝室だってともにしている。
このマンションに女性の匂いがしないのは、貴晶さんが私が来る前に完璧に消しているのかもしれない。

これですべてがわかった。
見えない線がひとつに繋がってしまった。

もうすぐ貴晶さんが帰ってくるかもしれないけど、私は今貴晶さんの顔を見て話せないし、この話を切り出すこともできないし、普通に会話できる勇気もない。
私はあふれる涙をそのままに、散らばったパンフレットをそろえて急いで紙袋に仕舞うと、クローゼットの扉を閉めた。

貴晶さんには
『ごめんなさい。
今日はあまり調子が良くないみたいだから、アパートに帰ります。
明日は大事を取って会社休みます。
その代わり週末に会えませんか?』
そうメールを送った。

そして急いでバッグを持って逃げるようにマンションを出た私は、大通りからタクシーに乗ると、再び私は静かに涙を流した。






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