浮気クラブ

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雑音が激しい街中で、私は周りに見向きばかりしていた。
行き交う人を逃さぬ様に視線は行ったり来たり。

あぁ…あの人カッコいい…
あの人はオシャレだわ…あ、あの彼も…でも彼女持ちかぁ…

「痛っ」
ふと、腕に痛みが感じられた。

「メアちゃん、どうした？」
そんな言葉に、我を戻す私。
そう、今は彼氏と手を繋ぎながらのデート中。

「ううんっ！」

そう答えると、乱れた歩行ペースは再び早くなる。
彼は早歩きが癖なために、私は手を引かれるのだが、もう少し遅く歩いて欲しいものだ。

でも彼にそれは言わない。
前に一度言ったのだが、男は女より前に歩くものだという古風な考えの人らしい。

それと、今日の服のセンスは微妙なので並んで歩きたくなかった。
深緑のYシャツに黒のダメージ系ジーパン。髪も黒くてボサボサのために、何だか全体的に重々しいというか貧乏くさいというか…
靴も学校で履いてるのと同じシューズなためにボロボロ。

せっかくのデートならもう少しオシャレをして欲しいが、高校生でバイトをして無い以上は仕方ない。
しかし、安くても今より良い服はあるのだが金が無いと言って服屋には行かない。

こんな彼タカシと今は倦怠期だ