トワイライト
  遠くに灯台のサーチライトが見え、その長い明かりの帯の向こうには、比較的大きな魚船が2・3隻(せき)浮かんでいた。おそらくあの船はこの島の漁師達のものなのだろう。そんな中隼人はトワイライトの浜辺の砂浜にゴロリと寝転んで空に瞬く満天の星をボーっと眺めていた。




『有。なんで君は僕の事を忘れてしまったんだろう?何がショックって、君が僕と過ごした日々をあんなにもあっさりと忘れてしまえるって事に僕は納得がいかない。君はいつも血の繋がった家族愛を求めて僕の横で寂しそうな笑顔で笑っていた。だから僕はそんな君をいつの日にか、きっと幸せにしたいと思うようになっていた。




  僕は有、君だけをずっと一途に見つめてきたつもりだった。有、僕には君しかいなかったんだよ。それなのに君は突然僕の目の前から何も言わずに姿を消したかと思えば、今度は僕の事を全く覚えていないと言う。それってあまりにも酷(ひど)すぎるじゃないか』と隼人は流れ落ちる涙を拭おうともせず、ただ有を思い声を押し殺して泣き続けた。




 すると突然暗闇の静寂を破って、隼人のケータイの着信音があたりに鳴り響いた。なので隼人は素早くジャケットの内ポケットに入れてあったケータイを取り出した。するとケータイの液晶画面には『田内萌』と名前が表示された。
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