トワイライト
  だが自分と慎也とで有を捜してきた今までの経緯を辿ると、つまりは有が血の繋がった家族に思いを寄せ、ずっと本当の親子として交流を持ちたいと願っていた事が今こうして現実となりつつあるのだ。要するに一言で簡単に言えばそう言う事なのだ。




  そして今、自分と有は双子の姉妹として会う事が出来た。ならば有がこれから母親理子と会い心の疎通が図(はか)れれば、有の心はそれで満足するのだろうか?と絶えず美有の心の中は葛藤していた。





「うん?!美有どうした?随分うかない顔をしているじゃないか?旅の疲れでも出たのかい?」
  と慎也がいやに黙り込む美有を見て言った。




「あっ、慎也ごめん。接角こうして二人でお茶してると言うのに、私暗い顔をしちゃって。あのね、私なんだかこれからどうするべきなのかって考えたら、なんか段々憂鬱(ゆううつ)になってきてしまって。そりゃあ、双子の有にこうしてこのトワイライトの浜辺で会えた事自体は、私にとってはとても嬉しい事よ。
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