トワイライト
  一方真宮夫妻と有と理子の4人は深刻だった。今迄崇晃だけが知らずにいた事実で、理子が会社を辞めるようにと瞳子が、猛と言うアルバイト学生に理子を襲うように仕向けた結果、理子が双子を産むに至った経緯(いきさつ)を知った事に対して普段温厚な崇晃が激怒したからである。




「だって私あの当時崇晃も理子に関心があったって思っていたから、とにかく私それを阻止したかったのよ!ちなみに私はあなたの事が大好きで、そのあなたを利発で美人の理子に横取りされるのが恐かったから、ついつい理子に好意を寄せている神崎さんと理子を遭遇させたのよ!」
  と瞳子は目にはうっすらと涙を浮かべ、半ば泣き声でそう崇晃に言った。




  こうして美有と有の本当の父親が判明した延長線上で、かつて妻の瞳子が理子に対して人間としてこれ以上ないであろうと言う酷い事をしたと解った事により、崇晃の心の中にはいっぺんにドドっと言い知れないほどの疲労が蓄積した。




  と同時にこの時崇晃は『人は誰でも人生を紐解けば、少なからず思いもよらない真実を秘めているものである』と言うけれど、今回のこの件でこの言葉はまさに心理を突いているなとつくづく感じた。だが崇晃はまさか自分の妻にこの言葉が当てはまる事など想像すらしていなかったので、その驚きは半端なかった……。
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