トワイライト
第14章‐崇晃の選択
  そしてひと月後崇晃は父親亮太(りょうた)に、海外勤務への移動を命じられた。ちなみに崇晃は妻瞳子の思いもよらない性格の一面を知り、いつしか気づけばかなり精神的に参ってしまっていた。だが今現在理子のように瞳子には心の支えとなる自分の血を分けた子供がいない。




  だから崇晃は今後瞳子の心を支えてあげられるのは、自分しかいないのだと再認識した。それに瞳子は結婚以来崇晃に対して常に陰ひなたになり、とても良く尽くしてもくれた。そんな瞳子を崇晃は今更裏切る気持ちなど毛頭なかった。そんな時に渡りに船とも言える父からの海外勤務の辞令。このグットタイミングの話に崇晃は半(なか)ば救われた思いがした。




  ちなみに亮太は自分の息子が最近酷く落ち込んで元気がない事を気にかけ、その理由(わけ)を側近に探らせた。




  その結果崇晃の嫁である瞳子が崇晃を取られたくない一心で理子にある男性を仕向け、その結果理子がその男性との子供を妊娠して、双子を産むに至ったと言う経緯を聞かされた息子が、その時に深く傷ついた背景を知った。




  だから息子の崇晃が全てを忘れ精神的に心を休め、元通りになるためには日本にいるよりも遥か遠くの地で、新たな気持ちでもってしばらく仕事に没頭をした方が良いと亮太は判断をしたのだ。
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