トワイライト

　ちなみに理子はこの数日後、忽然（こつぜん）と姿を消した。そして満月の夜町外れの産院で、理子は誰一人として見守ってくれる人のいない寂しさと孤独の中で女の子を産んだ。




　やがて理子は幼い子供を抱え生活を自分独りの力で支えるために、お給料が多く貰える某ラウンジで働く事にした。そして理子はそのラウンジで、かつての上司である日向匡史（ひゅうが まさふみ）と、ホステスと客として再会した。




　そして日向と理子は懐かしさもあってか、積もる話に花が咲き、急激に親しくなっていった。そしてかつての上司と部下と言う固苦しい壁は、たちまちのうちに取り払われた。




　尚、日向は理子と会話を重ねる度に以前から聡明だった理子が、出会った頃から比べると更にものの考え方がしっかりとしていて、また精神的にも大きく成長している事に気がついた。そしてこれならば理子は社長秘書としての素質が十分あると判断をし、日向はすぐさま自分の秘書に大抜擢した。