ワイン恋物語
時計に視線を向けると、夕方の4時を差していた。

こんな時間に、一体何かしら?

そう思いながら、わたしは受話器を手に取った。

「もしもし?」

「あ、つー?」

ドキッと、わたしの心臓が鳴った。

「…根本さん、ですか?」

声が震えているの、根本さんにバレていないだろうか?

「こんな時間にごめん、大丈夫?」

「ええ、はい…」

電話でよかったと、わたしは思った。

今のわたしの顔はきっと、青いだろう。

「つーがよければ、だけど…今から一緒にご飯食べに行かない?

いい店を見つけたんだ」

根本さんから食事のお誘いだ。
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