四季の旅。
中途半端なひとつと一匹。
春はいいな。
あったかいし、食べ物も豊富。
緑は綺麗で、空も綺麗。
うん。春はいい。

今は休憩中。
ハンモックに寝転びながら詩を書いてる。
ミカヅキは私の下の影で寝てる。
三日前に訪れた街で、干し肉をいっぱい買ったから、ミカヅキは呑気なもんだ。
かなか良い詩が想い浮かばない。
これ以上やったって無理っぽいので、もう出発する事にした。
『ミカヅキ!行くよ!』
『え?もう?』
『当たり前だよ。ミカヅキいったい何時間寝てたと思ってるの?』
別にそんなに時間経ってるわけでもないんだけど。
『うーん…そんなに寝てたなんて……』
真剣に考え込んでるミカヅキ。なんだか妙に面白い。
『もういいから。ハンモック片付けるからどいてどいて』
『はいはい。なんでわざわざめんどくさいのセットするかな。寝袋でいいじゃない?』
『あのね…寝袋じゃ詩書けないでしょ』
『へぇ。良いの出来た?』
『………』
『やっぱり寝袋でよかったじゃん』
『うるさいうるさい。ハンモックのの方が雰囲気あるでしょ』
『ま、人間様の考える事はわかんないって事だね』
『私、人間じゃないけどね』
それを聞いて、ミカヅキが少しだけ悲しそうな顔をした。
『人間になりたかった?』
『どっちでもいいよ。歌が歌えるんならね』
『そっか』
『うん』
私は、まだ私の陰りに気付いていなかった。
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