最後の恋―番外編―

言うこと聞くとかよく分かんないけど、とりあえずまだ寝たい。

そんな欲望に忠実に従って、下に丸まっていた布団を引っ張り上げて頭からかぶり、二度寝しようとした。

……のに、いつの間にベッドから抜け出して着替えたのか分からない学は、無情にも布団をベッドから落としてしまう。


絶対私が今二度寝しようとしたの分かったから布団どかしたんだ。

美月マスターの学の行動に、目をつむりながらもムッと顔をしかめる。

それでも私は出来るだけ小さくなって、二度寝しようと試みる。昨日もなかなか寝させてくれなかったくせに、どうして起こそうとするんだろう。

そんな私に焦れたのか、学は私の両手を掴んで強制的に身体を起こして、寝起きには眩しいくらいの笑顔でもう一度同じ言葉を口にした。


「何でも言うこと聞くって言ったよね?」


そう言われても、いつ言われた言葉なのか思い出せない私は、回らない頭を必死で動かして記憶をたどる。


昨夜はいつにも増して学が激しくて、どっちが上でどっちが下か分からないくらいに翻弄された。だから、その時自分が何を言ったのかも覚えていない。


その時にそんなことを口走ってしまったのだろうか。


だとしたら覚えているわけがない。

そういう最中は本当になにがなんだか分からなくなってしまうのだ。

それほど学は上手いんだけれど、それが過去の経験によってなせる業だとおもうと少し……いや、かなり嫉妬してしまうのも本音で。

でもそんなことを言っていたらキリがないから、そこは自分の中で折り合いをつけるようにしているけれど……。

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