最後の恋―番外編―

手をつないで歩いた遊歩道。
繋がる手のぬくもりに幸せをかみしめて、たどり着いた宮田さんのお店。
去年果たせなかった、鍋を食べるという約束を無事果たすことができた。


学の言った通り、宮田さんが作った鍋は本当に美味しかった。
家でも作ってみたくて宮田さんにレシピを聞いたけれど「門外不出だからだーめ。教えてほしいなら俺の奥さんにならなきゃいけなくなるよ?」と、からかわれて終わってしまう。

それが冗談だと分かっていながらも、どうしても許せないらしい学が宮田さんの首に手を回してじゃれつき出したり。そのあいだ私は、壁のレースの花飾りがどんなつくりなのか、夢中になって眺めていたり。

いつの間にか二人の形成は逆転して学が宮田さんにからかわれていたりしてとてもたのしい食事の時間だった。。


その日の後すぐにあった冬の大イベントのクリスマスも、今年は休みが取れた学と過ごすことが出来たし。年越しも学のマンションで一緒に迎えることが出来たし。


学の仕事は変わらず忙しいけれど、それでも去年より幸せに過ごせているような気がするのだ。





そんな風に楽しく過ぎて行ったある日の休日。

日中はポカポカ陽気になるけれど、朝方や夕方はまだ寒い。
今日が休日だからと昨日の夜から学の家に泊まっていた私は、起き抜けにそんなことを学から言われた。

でも起きたばかりの頭じゃ何のことだか全然思い出せない。それよりも勢いよく布団をめくられたせいで、急に感じる寒さに耐えきれなかった。
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