Seasons
ありきたりな恋の歌を三曲ほど聴いたところで、電車がいつもの駅に着いた。

駅を出て三十分、コンクリートで舗装された人気のない道を通って、家に着く。


「ただいまぁ」


靴が溢れた玄関に、母の靴があるのを見てため息。

リビングのドアを開けると、すぅすぅと寝息をたてて母がソファで寝ていた。


明るい茶色の髪に、縦巻きのパーマ。
童顔で、中身も子供みたいなお母さん――。


母が私が帰ってきたことに気づいてうっすらと目をあける。

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