復讐のkiss
「し、使者が参りました」


「…使者?…どの国の?」

私の問いかけにも応えず、ジェフティは私の手を取った。



「お急ぎのようなので、お早く」

「え、ちょっと?」

呆気にとられながら、私はジェフティに連れられ、

宮殿の入り口までやってきた。


・・・でも、私の足は、

使者の数メートル手前で動かなくなっていた。



「…どうして?」

その言葉だけがポツリとこぼれた。



「正式な婚儀の申し入れに参りました、ミラ王女様」

そう言って深々と頭を下げた。



「…貴方が使者なんですか?」

私の言葉に、優しい微笑みを浮かべた。



「オレでは不服ですか?」


「・・・そんなことありません。

でも貴方は、イスタ帝国の王子様で、使者なんてする身分じゃ」


そう、貴方は一国の王子。
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