復讐のkiss
私に声をかけたのは、

…オシリスだった。


「どうしたんですか、こんな夜中に?」

見張りを除いては、皆が眠りについてる時間。

だからこそ私はここで静かに一人でいたと言うのに。


「一人になりたかったんだ・・・」

そう言いながら私に近づいてきたオシリスは、

私の瞳を優しく拭った。



「何をするんですか?」


「・・・やっぱり泣いていたんじゃないか」


「・・・」


「人を殺すのは、心が痛むだろうな。

オレも最初はそうだったから・・・」

そう言ってオシリスは顔を歪ませた。

…人を殺すのに、何も思わない人間はいない。

オシリスはそう言いたかったんだと思う。



「苦しいなら、イスタに帰れ」


「…いやです」


「そんなにラメセスと一緒にいたいか?」
< 89 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop