散華の麗人
一正は眉を寄せて、呆れたように溜め息を吐いた。
「死に急ぐような言い方はやめろ。」
悲しそうに言う。
「それは陛下も同じです。」
「なんやと?」
風麗は一正を見て、口を開く。
「休まず、時間にとらわれている。自身を顧みず、民の為と死に急いでいるようです。」
「それは違う。」
はっきりと否定した。
「では何故、こうなるまで休まないのですか?」
「時間は永遠ではないからや。」
「命も、健康を損なえば刹那です。」
そう返すと、一正は黙ってしまった。
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