散華の麗人
そして、考え込む。
「本来は、清零国との謁見をした後に当主と話をするつもりやったが状況が変わった。すまんが、清零国王と謁見が済むまで此処で待ってはくれないか?……当主はまだ此処について居らんはずや。」
「ふん、気まぐれなことだ。構わぬ。」
悪態を吐きながら辻丸は承諾した。
「じゃあ、風麗。」
「はっ。」
「茶々と時雨を呼べ。」
「御意。」
風麗はそう言うと去った。
「小姓2人に接待でもさせるつもりか。」
「あぁ。2人ともべっぴんやさかい。悪い気はせんやろ?」
「どうせなら、遊女でも侍らせたいものだ。」
「ませた口を。」
辻丸に一正は陽気に笑った。
「失礼します。」
襖越しに風麗の声がした。
「只今参りました。」
それに続けて、時雨が一礼する。
「御用は何でしょう?」
茶々がその後ろで問う。
「早かったな。」
一正はそう言うと笑った。
「では、2人で辻丸を接待してくれ。奥の茶室が空いておったやろ?」
「はい。……案内いたします。」
時雨が頷いて答えた。
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