散華の麗人
翌朝。
敦賀の屋敷に文が届いた。
正確には分城に来たらしいが与吉郎……今は、“川中利光”が届けてくれたと門番から聞いた。
差出人の名前は書かれていない。
敦賀が丁度留守にしていた為、風正に渡された。
不審に思いながらも風正はその文を茶々へ手渡した。
「差出人の名前がないとは……」
「奇妙だ。」
風正は手紙を見て言った。
「?」
茶々は不思議そうに手紙を開いた。
手紙には短い文章があった。
“檍様のことで大切な話があります。
どうか、城の裏にある山へ来て下さい。
必ず1人で来て下さい。”
「婆様……」
茶々は廊下を走った。
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