散華の麗人

風麗は涙が零れないように堪えて、手紙を懐へしまった。
「風麗。我慢しなくてもええんやで？」
一正は風麗の肩に触れる。
「いいのです。」
真っ直ぐに見つめて少しの間耐えていた、
「師範に会いたいか？」
気持ちを見透かしたように一正は言う。
その気遣いに涙が零れた。
「当たり前です。」
そう言って眉を寄せる。
「居場所はどこの山奥や？」
「竜華国にある荘龍山です。」
「そうか。」
（竜華国か）
一正は眉を寄せた。
「竜華国を通るにはいくつかの国を跨ぐ。国際関係もあるからな……」
一正は眉間にシワを寄せて考える。
「ジジィに言ってみるか。」
「そんな大袈裟な……別に構いませんよ。」
風麗は困った表情をする。
「師範ってどんな奴かわしも気になるしな！」
一正はそう言って笑った。