散華の麗人
風麗は静かに口を開く。
「……貴方の真意を知りたい。」
真っ直ぐに利光を見た。
「真意、とは?」
利光は問う。
「陸羽派の件でござ……ですか?」
「はい。」
もう1度言い直す利光の様子を見て、風麗は言及はしないが気持ちの変化を感じた。
(今の自分を変えたいというようだ。)
それは果たして喜ばしいのかは定かではないが、どう言っても無駄だと知っていた。
「いいえ。と答えておきましょう。某が細川国王を脅かすという意味合いでは。」
「それはどういうことです?」
その質問に利光は答えない。
静かに睨み合うが、利光はすぐに困ったように目を逸らした。
敵意の無さが伺えた。
(自分は手を下さないつもりなのか、あるいは……)
ゆっくりと利光を見た。
(陛下が死ぬのを待っている……?)
その予想はできればしたくなかった。
だが、僅かに確信の余地はある。
(だが、それだけでは排除する理由にはならない。陛下が死ぬことを望む者は何も彼だけではない。)
冷静に判断した。
「……ご心配なさらず。陛下の命を狙ったりする気はない。」
そう言うと去った。
これ以上の情報は得られないことを悟った風麗はリアンの元へ向かうために踵を返す。
< 790 / 920 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop